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2022.11.28 「沢井製薬 v. 東レ」 知財高裁令和4年(行ケ)10046; 10048; 10049・・・レミッチ®用途特許延長登録に関する前訴判決拘束力の理解の誤り及び手続上の瑕疵の存在を主張する沢井の審決取消請求を棄却

本件(令和4年(行ケ)10046; 令和4年(行ケ)10048; 令和4年(行ケ)10049)は、東レ(被告)が保有する「止痒剤」に関する特許第3531170号に係る特許権の存続期間延長登録(特願2015-700061; 2017-700309; 2017-700310)に対して沢井製薬(原告)がした無効審判請求(無効2020-800002号事件; 無効2020-800003号事件; 無効2020-800004号事件)において、第1次審決を取り消す旨の前訴判決(平成2年(行ケ)10096; 平成2年(行ケ)10097; 平成2年(行ケ)10098)が最高裁の上告棄却・上告不受理決定により確定し(2021.10.26記事: レミッチ®用途特許の延長登録に関する審決取消請求事件 最高裁が上告棄却・上告不受理決定したことにより知財高裁の審決取消(延長登録有効)判決が確定)、特許庁が請求不成立との審決(本件審決)をしたため、沢井製薬(原告)が審決の取り消しを求めて提起した訴訟である。

争点は、無効理由についての判断の誤りの有無(より具体的には、先にされた審決を取り消した判決の拘束力の理解の誤りの有無)及び手続上の瑕疵の有無である。

裁判所(知財高裁・第2部)は、以下のとおり、原告の請求には理由がないからこれを棄却した。

  • 本件審決が第1次審決を取り消す旨の前訴判決の拘束力について誤解・混同をし、本件発明の技術的範囲の属否について判断しなかったという原告の主張は、認められない。
  • 前訴判決に至るまでの間に、原告には、審判段階においても、本件発明の技術的範囲について自らの主張立証を尽くす機会が与えられていたもので、それにもかかわらず、前訴判決の確定後、本件審決に至るまでの間に、原告に改めて主張の機会等が与えられなかったことをもって手続に瑕疵があったというべき事情は認められない。本件発明の技術的範囲に係る点は、原告による本件延長登録についての無効審判の請求の当初から、無効理由に含められていたもので、前訴判決後に新たな論点が発生したなどという原告の主張は、採用することができない。
延長登録出願処分の対象となった医薬品延長登録の無効審判請求事件第1次審決を取り消す旨の前訴判決前訴判決についての記事本件審決取消訴訟判決
特願2015-700061ノピコール®カプセル2.5μg無効2020-800002平成2年(行ケ)100962021.03.25 「東レ v. 沢井製薬・ニプロ」 知財高裁令和2年(行ケ)10096令和4年(行ケ)10046
特願2017-700309レミッチ®カプセル2.5μg無効2020-800003平成2年(行ケ)100972021.03.25 「東レ v. 沢井製薬・ニプロ」 知財高裁令和2年(行ケ)10097令和4年(行ケ)10048
特願2017-700310レミッチ®OD錠2.5μg無効2020-800004平成2年(行ケ)100982021.03.25 「東レ v. 沢井製薬・ニプロ」 知財高裁令和2年(行ケ)10098令和4年(行ケ)10049

なお、経口そう痒症改善剤レミッチ®の後発医薬品(ナルフラフィン塩酸塩OD錠)を製造販売する沢井製薬および扶桑薬品工業に対して、本件特許第3531170号に係る延長された特許権を侵害していると主張して、東レが提起した訴訟では、知財高裁が当該後発医薬品の製造販売の差止仮処分命令を発出している。

参考:

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