2025年6月3日、首相官邸で開催された第54回知的財産戦略本部において、「知的財産推進計画2025」が決定されました。
本計画の「III. 知財戦略の重点施策」中、「2. 知的財産の『保護』」の「(3)産業財産権制度・運用の強化」において、<グローバル化への対応>の一環として、製薬業界に関係する以下のような記述が盛り込まれました。
「欧米等においては医薬品データ保護が法制化されているのに対し、日本においては医薬品データ保護を直接規定する法律はなく、再審査制度(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第 14 条の4)が医薬品データ保護の役割を実質的に有している状況にある。医薬品データ保護制度が独立して存在しないために、制度に詳しくない者が日本には医薬品データ保護制度は存在しないと認識する恐れがあると指摘(29)がなされている。このため、次期、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の改正に係る議論に向けて、関係業界団体等において議論を集約するなど、医薬品データ保護制度を法制化する必要性について調査・分析をすることが求められる。」
(29) 「知的財産推進計画 2025」の策定に向けた意⾒募集【法⼈・団体からの意⾒】P.99
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2025/pdf/siryou2025_2.pdf)

日本政府が、次期薬機法改正に向けて、医薬品データ保護制度の法制化の必要性を検討すると明言しましたね!
2025年3月29日のブログ記事「『知的財産推進計画2025』策定に向けて製薬業界から提出された意見 ― 製薬業界はどのような課題を抱え、どのような施策を政府に求めているのか ―」では、製薬業界各団体から寄せられた要望・意見の概要を紹介しています。
特に日本製薬工業協会(製薬協)及び日本知的財産協会は、医薬品データ保護制度の法制化を以前から強く求めていました。ぜひご覧ください。

また、私自身も、「知的財産推進計画2024」策定時に、パブリックコメントを通じて意見を提出しています。詳細は以下の記事をご参照ください。
2024.03.26ブログ記事「「知的財産推進計画 2024」の策定に向けた意見 ― 医薬品の臨床試験データを保護する制度(データ保護制度)の法制度化を要望 ―」参照。

さらに、米国業界団体も日本には明確な医薬品データ保護の立法措置が存在しないことを問題視していました(2025.04.30ブログ記事「2025年スペシャル301条報告書と米国業界団体による対日意見書から読み解く、パテントリンケージ・医薬品データ保護・特許延長制度の論点」参照)。

コメント