杏林製薬が「KRP-203」に関する知的財産等をPriothera社に譲渡

キョーリン製薬ホールディングス(株)の2020年10月12日付プレスリリース(免疫調節薬「KRP-203」に関わる知的財産等のPriothera社への譲渡について)によると、杏林製薬とPriothera社は、杏林製薬が創製した免疫調節薬「KRP-203」について、知的財産等の譲渡に関する契約を締結したとのことです。

  • 杏林製薬はPriothera社に対して、「KRP-203」の開発・販売等に要する特許・データ等の知的財産及び原薬等を譲渡する
  • その対価としてPriothera社が発行する株式等を受け取る
  • 杏林製薬は日本及び韓国における開発・販売等の権利を留保する

「KRP-203」はスフィンゴシン1リン酸受容体アゴニストとしてリンパ球のリンパ節からの移出を抑制することにより免疫調節作用を示す。

ノバルティス社にライセンス供与し、同社がGvHD(移植片対宿主病)での開発を進めていたが、2018年2月に同社の開発戦略上の視点による開発中止及びライセンスの返還を受けて、杏林製薬は新たな導出先を探索していた。Priothera社は、今後、急性骨髄性白血病において造血幹細胞を移植する患者を対象とした臨床試験を進めていく予定。

1.KRP-203の物質特許について

例えば、杏林製薬の特許5116476(WO2007/043433)の明細書に、

「2-アミノ-2-[4-(3-ベンジルオキシフェニルチオ)-2-クロロフェニル]エチル-1,3-プロパンジオール塩酸塩(以下、「KRP-203」と略記する)」

との記載があること、同明細書に記載されている引用文献WO2003/029205(PCT/JP2002/009865; 出願人は杏林製薬; 国際出願日は2002年9月25日)には免疫抑制作用を有する新規ジアリールスルフィド誘導体(実施例46)として同化合物が記載されていることから、

この国際出願PCT/JP2002/009865が「KRP-203」の物質発明に関する出願であり、日本では特許4217620として2008年に登録され、以下のとおり、KRP-203の物質発明を保護するものとなっている。

【請求項9】

「前記一般式(1)で示される化合物が、2-アミノ-2-[4-(3-ベンジルオキシフェニルチオ)-2-クロロフェニル]エチル-1,3-プロパンジオールである、請求項1に記載のジアリールスルフィド誘導体、若しくは薬理学的に許容しうる塩又はその水和物。」

KRP-203の物質特許の存続期間満了日は2022年9月25日である。

2.KRP-203の用途出願

杏林製薬は、「造血幹細胞移植患者の処置」に関する国際出願PCT/IB2017/051291(ノバルティス社から譲渡; 国際出願日2017年3月6日; WO2017/153889)を有しており、その日本に移行された出願(特願2018-547360)の請求項1は、

「移植を介してドナーから造血幹細胞を受け入れた患者において造血幹細胞の生着を向上させる、例えば、促進する、例えば、速める方法であって、有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩

[式中、Rは、HまたはP(O)3H2である]を前記患者に投与することを含む方法。」

であり、今後、Priothera社が進めるという「急性骨髄性白血病において造血幹細胞を移植する患者」を対象とした臨床試験と医薬用途として合致しているように思われる。Priothera社にとって、上記出願が重要な知的財産になると推測される。

 

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