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*Case2025

2025.05.27 「沢井製薬 v. 東レ」 知財高裁令和6年(行ケ)10033 ― 特許権の延長登録期間が争われたナルフラフィン(レミッチ®OD錠)事件判決

Summary本件は、東レが保有する特許権に係る存続期間延長登録に対して請求された無効審判において、特許庁が請求不成立とする審決をしたため、沢井製薬がその取消しを求めた訴訟である。主な争点は以下の2点である。 「ナルフラフィン塩酸塩」を含有する本件医薬品(レミッチ®OD錠)が、「一般式(Ⅰ)で表されるオピオイドκ受容体作動性化合物を有効成分とする止痒剤」に該当し、本件発明の技術的範囲に属するか否か...
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*Case2025

2025.05.15 「沢井製薬 v. BMS」 東京地裁令和5年(ワ)70527・令和6年(ワ)70016 ― スプリセル®後発品訴訟で特許権延長制度の根幹を揺るがす形式判断

Summaryブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)が製造販売するスプリセル®錠の有効成分(ダサチニブ)に関する特許発明の延長された特許権について、沢井製薬による後発医薬品の製造等行為にその効力が及ぶか否か争われた特許権侵害訴訟で、2025年5月15日、東京地裁は、スプリセル®錠と沢井製薬の後発医薬品は医薬品として実質的に同一とは認められず、延長された特許権の効力は及ばないと判断した。本判決は...
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*Pharma/IP news

ついに日本政府が動く? 医薬品データ保護制度、法制化の必要性を検討へ ― 知的財産推進計画2025より

2025年6月3日、首相官邸で開催された第54回知的財産戦略本部において、「知的財産推進計画2025」が決定されました。本計画の「III. 知財戦略の重点施策」中、「2. 知的財産の『保護』」の「(3)産業財産権制度・運用の強化」において、<グローバル化への対応>の一環として、製薬業界に関係する以下のような記述が盛り込まれました。「欧米等においては医薬品データ保護が法制化されているのに対し、日本に...
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*Case2025

2025.02.13 「東和薬品・共和薬品工業・日医工 v. 協和キリン」 知財高裁令和5年(行ケ)10093・10094 ― 引用発明が医薬用途発明として認定されるためには ―

Summaryパーキンソン病治療剤ノウリアスト®(一般名:イストラデフィリン)の医薬用途発明に関する協和キリンの特許についての無効審判請求不成立審決に対する取消訴訟で、知財高裁は、以下のように判断した。まず、知財高裁は、医薬分野において構成から作用・効果を予測することが困難である特性を踏まえ、引用発明が医薬用途発明として認められるためには、当業者がその対象用途における実施可能性を理解し、認識できる...
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*Topics

2024年、医薬系”特許的”な出来事を振り返る。

2024年の医薬系”特許的”な出来事を振り返ります。Fubuki2024年も残すところあとわずかとなりました。2024年の医薬系”特許的”な世相を漢字一文字で表すとしたら、何を思い浮かべますか?ニャーわたくしは、2024年こそ「和」だと思いますね。大きな話題となっていた裁定請求事件も和解に至りましたし、平和な世の中になってほしいです。2024年ノーベル平和賞も日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協...
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*Case2024

2024.09.26 「旭化成ファーマ v. 沢井製薬」 大阪地裁令和4年(ワ)3344 ― 引用文献に明示されていない酸化抑制の構成を相違点と認定し、内在理論に基づいた容易想到性を否定した事例 ―

1.はじめに本件(大阪地裁令和4年(ワ)3344)は、沢井製薬が骨粗鬆症治療薬「テリボン®皮下注用56.5μg」(有効成分:ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)の活性部分であるN端側1-34ペプチド断片のテリパラチド酢酸塩)の後発医薬品を製造・販売したことに対し、その製品が旭化成ファーマの特許権を侵害しているとして、旭化成ファーマが販売差止め及び損害賠償を求めた訴訟である。旭化成ファーマの特許権は、無菌...
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*Case2024

2024.10.28 「サムスン v. バイエル」東京地裁令和6年(ヨ)30029 ― パテントリンケージにおける特許権者による情報提供と不競法の虚偽告知該当性 ―

Summary本件は、後発メーカーのサムスンが、バイオ後続品が本件特許権を侵害するとして先発メーカーのバイエルが厚労省に情報提供した行為が不競法2条1項21号に定める不正競争に該当すると主張し、その告知行為の差止めの仮処分を求めた事案である。東京地方裁判所は、バイエルの情報提供は虚偽の回答に該当するとしつつ、パテントリンケージ制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものではないと判断し、サムスン...
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*Pharma/IP news

シンバイオ製薬、トレアキシン®点滴静注液(ベンダムスチン)の後発医薬品に対する特許権侵害訴訟で東和薬品と和解

シンバイオ製薬のプレスリリースによると、抗悪性腫瘍剤トレアキシン®点滴静注液100mg/4mL(一般名:ベンダムスチン塩酸塩水和物(Bendamustine Hydrochloride Hydrate)、以下「トレアキシン®」)のライセンス元であるEagle Pharmaceuticals, Inc.(以下「Eagle社」)とシンバイオ製薬が共同で、Eagle社が保有するベンダムスチン液剤に関する...
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*Pharma/IP news

公共の利益のための通常実施権を設定すべき旨の裁定請求 ⾃家iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞の製造等に関してビジョンケア、ヘリオス、住友ファーマらが和解 ― 強制実施権設定の在り方と浮かび上がった課題 ―

1.はじめに株式会社ヘリオス(以下「ヘリオス」)、国立研究開発法人理化学研究所(以下「理研」)及び国立大学法人大阪大学(以下「大阪大学」)が共同保有する発明の名称を「網膜色素上皮細胞の製造方法」とする本件特許(第6518878号)に係る特許権に対して、2021年7月13日に、高橋政代氏(以下「高橋氏」)を代表取締役とする株式会社ビジョンケア(ビジョンケア)及び株式会社VC Cell Therapy...
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*Case2024

2024.05.16 「A v. 特許庁長官」 東京地裁令和5年(行ウ)5001 ― 発明者は自然人に限られる。AI発明をめぐる実務上の懸念に対し立法論の検討が期待されると付言 ―

SummaryStephen Thaler博士のAIコンピュータ「DABUS」が生み出した発明について「DABUS」を発明者とした特許出願の発明者適格が争われた訴訟で、東京地裁は、発明者は自然人に限られるものと解するのが相当であり、自然人の氏名を記載するよう命じられた原告が補正をしなかったことにより特許庁長官が本件出願を却下する処分をしたことは適法であると認めるのが相当であるとして、原告の請求を棄...
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*Pharma/IP news

アステラス製薬の過活動膀胱治療剤「Myrbetriq」 LupinとZydusによる後発品発売の停止を求める仮差止め請求に関する米国デラウェア州連邦地方裁判所の決定について

アステラス製薬は、米国デラウェア州連邦地方裁判所において、米国で販売している過活動膀胱治療Myrbetriq(一般名:ミラベグロン(Mirabegron))に関する特許(米国特許番号:11,707,451、以下「451特許」、2023年7月25日に登録、2030年3月満了予定)侵害訴訟(以下、「本訴訟」)が決着する前の、LupinとZydusによる後発品発売の停止を求める仮差止め請求の却下を推奨す...
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*Topics

「知的財産推進計画 2024」の策定に向けた意見 ― 医薬品の臨床試験データを保護する制度(データ保護制度)の法制度化を要望 ―

知的財産戦略本部では、同本部の下におかれた構想委員会において「知的財産推進計画 2024」の策定に向けた検討を進めており、今後、「知的財産推進計画 2024」の策定に向けた検討に役立てるため、パブリック・コメントを募集しています(「知的財産推進計画2024」の策定に向けた意見募集参照。募集期間:令和6年2月26日~令和6年3月27日)。Fubuki匿名なので受け付けてもらえないかもしれませんが、一...
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*Pharma/IP news

BMS スプリセル®錠(一般名:ダサチニブ水和物)の後発品を巡る特許権侵害訴訟で東京地裁が沢井製薬のダサチニブ錠の製造販売行為を禁止する仮処分命令を発出 ― 本当の問題点 ―

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(以下「BMS Japan」)のプレスリリースによると、2023年11月28日、東京地方裁判所から、沢井製薬に対し、BMS Japan が製造販売承認を取得している「スプリセル®錠 20 mg/50mg」(一般名:ダサチニブ水和物)の後発医薬品である沢井製薬の「ダサチニブ錠 20mg/50mg 「サワイ」」(対象製品)に関し、当該製品に係る製造販売行為等を禁...
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*Topics

【アンケート】パテントリンケージとして運用されている二課長通知の問題点は何だと思いますか?

アンケートへご協力いただきまして、誠にありがとうございました。日本のパテントリンケージ制度に関心のある76名の方々から、計501件もの回答をいただき、多くの方々がどのような問題意識を持っているのかが明らかになりました。アンケートの結果:最も得票数が多かった問題点は、「二課長通知に基づく判断過程・判断理由は、公表されないだけでなく、当事者にも伝えられないため、透明性が欠如していること、公平性が担保さ...
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*Case2023

【速報】2023.05.18 「Amgen v. Sanofi」 米国最高裁No. 21–757 - Amgenの抗PCSK9抗体特許 実施可能要件非充足を理由に無効としたCAFC判決を米国最高裁も支持 -

2023年5月18日、米国最高裁判所は、Gorsuch判事による全会一致の意見として、Amgenの抗PCSK9抗体に関する米国特許8,829,165及び8,859,741は実施可能要件(enablement requirement)を満たさないから無効であるとした米国連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)の判決を支持しました。 May 18 2023 Adjudged to be AFFIRMED. G...
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*Case2023

2023.03.22 「東亜産業 v. neo ALA」 知財高裁令和4年(行ケ)10091(5-アミノレブリン酸リン酸塩事件) - 刊行物に新規化学物質の発明が記載されているといえるか(引用発明の適格性)の判断基準 -

Summary5-アミノレブリン酸リン酸塩(5-ALAホスフェート)に係る特許発明の新規性が争点となった審決取消請求事件で、引用文献には、同物質が記載されているといえるものの、その製造方法に関する記載が見当たらないことから、同物質を引用発明として認定することの可否が問題となった。知財高裁は、引用文献からは同物質を引用発明として認定することはできないと判断し、本件発明は引用発明に対して新規性を欠くも...
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*Case2022

2022.12.20 「アストラゼネカ v. 日本ジェネリック・東亜薬品」 東京地裁令和2年(ワ)19198 ― 医療用医薬品シムビコート タービュヘイラーの形態は出所表示機能を有しないとして商品等表示該当性を否定した不正競争行為差止等請求事件判決 ―

1.背景本件(東京地裁令和2年(ワ)19198)は、気管支喘息用の医療用医薬品である原告商品を製造販売する原告アストラゼネカが、原告商品の形態は商品等表示に当たり、被告東亜薬品が当該商品等表示に類似した形態を商品等表示として使用した後発医薬品である被告商品を製造し、被告日本ジェネリックがこれを販売する行為は、不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に該当するなどと主張して、被告らに対し、被告商品の...
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*Pharma/IP news

タフルプロストを含む医薬に関する特許権について

2023年1月18日、参天製薬株式会社とAGC株式会社の連名による「タフルプロストを含む医薬に関する特許権について」の謹告文が掲載されました。 2023.01.18 日刊薬業: 【謹告】タフルプロストを含む医薬に関する特許権について参天製薬は、AGCから原体の供給を受け、タフルプロスト(Tafluprost)を有効成分として0.0015%含み、効能・効果を緑内障、高眼圧症とする「タプロス®点眼液0...
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*Case2022

2022.09.21 「興和 v. 東和薬品」 知財高裁令和4年(ネ)10052 ピタバスタチン製剤の特許権侵害損害賠償等(総額約188億円)請求事件・・・当初差止請求事件から一転、興和敗訴(東和勝訴)となった原因とは

Summaryピタバスタチンを有効成分とする高コレステロール血症治療剤リバロ®の後発医薬品の製造・販売行為がピタバスタチン製剤に関する特許権(特許第5190159号)を侵害するなどと主張して、興和が、東和薬品に対し、損害賠償金等の支払を求めた事件の控訴審。東和薬品による当該後発医薬品の販売開始(2013年12月)から約9年が経とうとしている。当初の差止請求事件では興和が勝訴しており、その後提起され...
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*Pharma/IP news

第一三共、NovartisのBRAF阻害剤Tafinlar®に対する米国特許権侵害訴訟で損害賠償金と9%のロイヤルティの支払いを命じる判決を勝ち取る

2022年9月30日の第一三共のプレスリリース「Novartis社との特許係争に関するお知らせ」によると、第一三共は、Novartis社のBRAF阻害剤Tafinlar®(有効成分: dabrafenib)に関して、2022年3月に閉鎖した第一三共の米国子会社であるPlexxikon社が保有する米国特許9,469,640及び9,844,539を侵害しているとして、Plexxikon 社が2017年...
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*Pharma/IP news

“Inventors” must be human beings. 発明者AI(”DABUS”)の特許出願を拒絶した米国特許商標庁の判断を米国連邦巡回区控訴裁判所も支持 Thaler氏は大法廷での再審理申立てへ

アンケートにご協力いただけたらとてもうれしいですStephen Thaler博士(以下、Thaler氏)は、彼のArtificial intelligence("AI")コンピュータである"DABUS"が生み出した発明について、"DABUS"を発明者として特許出願し、多くの国で保護を求めようとしています()。2022年8月5日、米国連邦巡回区控訴裁判所は、特許法には「発明者(inventors)」...
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*Topics

「内在同一の問題」 -製薬・バイオテクノロジー分野における新たな科学的発見と公衆衛生との間で揺れる特許保護のジレンマ-

本記事は、製薬およびバイオテクノロジー分野における特許保護の不確実性問題のひとつである「内在同一の問題」を取り上げ、米国での取り扱いの確認と、本ブログで過去に取り上げた裁判例を列挙整理するものである。1.製薬およびバイオテクノロジー分野における内在同一の問題公衆がすでに用いている物や方法について、その作用機序を解明したり、新たな属性を見出したりした場合に、いかなる要件の下で特許を認めるべきか(ある...
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*Pharma/IP news

Seagen社の抗体薬物複合体(ADC)特許と第一三共「Enhertu®(エンハーツ)」を巡る特許紛争 米国特許商標庁が特許付与後レビュー手続きを進めないことを決定

1.第一三共のプレスリリース2022年7月19日付の第一三共プレスリリース(当社ADC製品に関するSeagen社との特許係争に関するお知らせ)によると、第一三共が米国特許商標庁に請求していたSeagen社の米国特許 10,808,039(以下「'039特許」)の有効性を審査する特許付与後レビュー(Post Grant Review、以下「PGR」)について、米国特許商標庁がSeagen社の再審理請...
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*Case2022

2022.03.08 「ノバルティス v. アストラゼネカ」 知財高裁令和3年(行ケ)10041・・・COPD治療薬の登録商標「BREZTRI」を巡る争い

Summary知財高裁は、アストラゼネカの登録商標「BREZTRI」に対してノバルティスが請求した無効審判事件において、本件商標は、ノバルティスが商標権者である商標「ONBREZ」及び「BREEZHALER」に類似しない(商標法4条1項11号に該当せず)本件商標は、ノバルティスのCOPD治療薬「OnbrezBreezhaler」(「オンブレス®吸入用カプセル150μg」及びその専用吸入器「ブリーズ...
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*Pharma/IP news

骨粗鬆症治療剤エディロール®後発品原薬の結晶形に関する特許権侵害訴訟 東京地裁が中外の訴えを棄却

2020年2月17日、沢井製薬及び日医工が、骨粗鬆症治療剤(活性型ビタミンD3製剤)エディロール®カプセル0.5µg、同0.75µg(一般名:エルデカルシトール(eldecalcitol))の後発品(『エルデカルシトールカプセル0.5μg・0.75μg「サワイ」』、『エルデカルシトールカプセル 0.5μg、0.75μg「日医工」』)の製造販売承認をそれぞれ取得しました。これを受けて、同日、中外製薬...
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*Case2022

2022.02.02 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和2年(行ケ)10071 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判⑥

・・・特許6150846(「増悪椎体骨折抑制のための」を発明特定事項とする医薬用途発明)の進歩性を認めた審決を取り消す。>⑤から続く前回記事: 2021.12.09 「沢井製薬 v. 旭化成ファーマ」 知財高裁令和2年(行ケ)10069 骨粗鬆症治療剤テリボン®(テリパラチド酢酸塩)の週1回投与特許を巡る裁判⑤1.はじめに旭化成ファーマが製造販売する週1回皮下投与の骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注...
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*Pharma/IP news

公共の利益のための通常実施権の許諾を求める裁定の請求2021-1 工業所有権審議会 発明実施部会(第1回)が開催

2021年12月2日、工業所有権審議会 発明実施部会(第1回)が開催されたとのことです。議事録や議事要旨については非公開となります。裁定請求2021-1については第2回以降も引き続き議論することになったとのことです。裁定請求2021-1については、過去記事「理研・ヘリオス・大阪大学の「網膜色素上皮細胞の製造方法」特許に公共の利益のための通常実施権の設定を求めてビジョンケアが裁定を請求・・・iPS細...
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*Pharma/IP news

理研・ヘリオス・大阪大学の「網膜色素上皮細胞の製造方法」特許に公共の利益のための通常実施権の設定を求めてビジョンケアが裁定を請求・・・iPS細胞を用いた世界初の臨床応用からなかなか進まないヘリオス・大日本住友による加齢黄斑変性に対する再生医療の治験

1.はじめに理研・ヘリオス・大阪大学が特許権者である発明の名称を「網膜色素上皮細胞の製造方法」とする特許第6518878号に係る特許権を含む網膜色素上皮細胞を用いた再生医療についての独占ライセンス契約が理研-ヘリオス-大日本住友製薬の間で締結されているという状況のもと、2021年7月13日に、第三者であるビジョンケアらが、同特許権について公共の利益のための通常実施権の許諾を求める裁定の請求を行いま...
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*Case2021

2021.08.19 「マルホ v. 健栄製薬」 知財高裁令和3年(行ケ)10030; 令和3年(行ケ)10031・・・健栄製薬の登録商標「ヒルドソフト」について「ヒルドイド」に類似・混同するとのマルホの主張を認めず

>前回記事から続く前回記事「マルホ「ヒルドイド」商標権の侵害・不正競争行為に基づき、健栄製薬「ヒルマイルド」の販売差止仮処分の申立て」マルホは、健栄製薬の「ヒルマイルド」の販売等が、ヒルドイド®に係るマルホの商標権の侵害及び不正競争行為に該当すると主張して、2021年1月21日付で、大阪地方裁判所に、「ヒルマイルド」の販売差止等を求めて仮処分の申立てを行った(2021.01.22 マルホ pres...
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*Case2021

2021.07.07 「ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア v. 国」 東京地裁令和2年(行ウ)423

1.事件の概要本件(東京地裁令和2年(行ウ)423)は、国際特許出願(PCT/US2016/065653)をした原告(ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア)が、特許法184条の4第1項が定める優先日から2年6月の国内書面提出期間内(2018年6月11日まで)に同項に規定する明細書等の翻訳文を提出することができなかったことについて、同条4項の正当な理由があるにもかかわらず...
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*Pharma/IP news

COVID-19ワクチンの知的財産権の放棄を支持したバイデン政権と各製薬業界団体の失望・・・将来のパンデミックに対するイノベーションは誰が担うのか?

2021年5月5日、米通商代表部(USTR)のタイ代表は、WTOでの議論(TRIPS協定において定められた知的財産保護に関する規程の適用除外/履行義務免除(waiver)を求める提案)を受けて、バイデン政権がCOVID-19ワクチンの知的財産権保護の放棄(前記waiver)を支持することを発表しました。その発表に対して各製薬業界団体は反対と失望の声明を出しています。バイデン政権の安全で効果的なワク...
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*Pharma/IP news

武田と帝人ファーマ、糖尿病薬4剤の販売移管・資産譲渡契約を締結・・・特許独占期間と他社DPP4阻害薬ジェネリック参入時期のインパクト

2021年2月26日、武田薬品工業は、糖尿病治療薬4剤について、帝人ファーマに販売を移管するとともに、日本における製造販売承認及びこれに関連する資産を譲渡することを決定し、帝人及び帝人ファーマとの間で資産譲渡契約を締結したと発表しました。本記事は、本譲渡対象製品及び競合するDPP-4阻害剤製品を保護するそれぞれの基本特許(物質特許)に係る特許権存続期間満了時期の前後関係から、本譲渡対象製品の将来の...
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*Topics

【更新】ブログ記事を引用していただきありがとうございます!

※いつもご覧いただいている皆さまへ本ブログの記事を、もし論文等で引用していただけることがあれば、身に余る光栄でございます🥰 引用いただいたご論文については、ぜひこちらでもご紹介させていただきたいのですが、自分では把握できませんので、お知らせいただけましたら大変ありがたく存じます。なお、主な記事は書籍版『医薬系特許的判例ブログ年報(2023・2024)』も刊行しており、国立国会図書館にてご覧いただけ...
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*Case2020

2020.07.22 「X v. アムジェン」 東京地裁平成31年(ワ)1409

腫瘍溶解性ウイルスの開発競争に特許侵害訴訟も勃発(G47Δ/DS-1647 v. T-VEC/IMLYGIC)・・・本件治験が特許法69条1項「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に該当するか・・・腫瘍溶解性ウイルスの開発競争東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授は、がん細胞でのみ増殖可能となるよう設計された遺伝子組換え第三世代がん治療用単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)である「DS-1647...
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*Case2020

2020.06.17 「X v. アルコンリサーチ/協和キリン」 知財高裁令和元年(行ケ)10118

差戻審知財高裁判決が発明効果の顕著性を認め原告の請求棄却: 知財高裁令和元年(行ケ)101181.背景本件は、協和キリン及びアルコンリサーチが保有する「アレルギー性眼疾患を処置するためのドキセピン誘導体を含有する局所的眼科用処方物」に関する特許第3068858号の無効審判請求(無効2011-800018号事件)に対する不成立審決の取消訴訟である。本件化合物を本件各発明に係る用途に適用することを容易...
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*Pharma/IP news

参天製薬の知的財産活動の景色(2020)

参天製薬は、眼科分野に経営資源を集中しています。日本での売上に大きな貢献をしている主要製品として、アイリーア®、アレジオン®、ジクアス®が挙げられます。特に、アイリーア®(一般名:アフリベルセプト(Aflibercept))は、製造販売元であるバイエル薬品とのコ・プロモーション製品として、参天製薬が日本で601億円(2019年度)を売り上げている眼科用VEGF阻害剤であり、参天製薬の日本における売...
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*Pharma/IP news

中外 エディロール用途特許侵害で沢井・日医工を提訴

2020年5月29日付の中外製薬のプレスリリース(エディロール®カプセルに関する特許権侵害訴訟の提起について)によると、2020年5月29日、中外製薬は、骨粗鬆症治療剤(活性型ビタミンD3製剤)エディロール®カプセル0.5μg、同0.75μg(一般名: エルデカルシトール(Eldecalcitol))について、同製品の後発医薬品の製造販売承認取得者である沢井製薬および日医工に対し、中外製薬および大...
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*Pharma/IP news

2020年2月 ゼチーア®(エゼチミブ)ジェネリック承認 10社以上が参入

2020年2月17日、高脂血症治療剤ゼチーア®錠のジェネリック(昨年8月承認のAGを除く)の承認を取得したジェネリックメーカーは10社以上となりました。2020年6月の薬価基準収載・発売が見込まれます。ゼチーア®錠の再審査期間(2007年4月18日~2015年4月17日)が終了しているため、有効成分であるエゼチミブを保護する物質特許(第2803908号)の満了(5年の延長のため2019年9月14日...
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*Pharma/IP news

コセンティクス(Cosentyx)®特許の延長について

コセンティクス(Cosentyx)®を保護する特許の存続期間延長について紹介するとともに、最後に延長の登録要件と効力に関して疑問に思った点に触れたい。コセンティクス®は、ノバルティスが開発したセクキヌマブ(Secukinumab)(遺伝子組換え)を有効成分とするヒト型抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤である。日本では、2014年12月26日にプレフィルドシリンジ製剤である「コセンティクス®皮...
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*Pharma/IP news

レミッチ®用途特許に対するジェネリックメーカーの動き

東レが保有する「止痒剤」に関する特許(特許第3531170号)は、経口そう痒症改善剤「レミッチ®」(一般名:ナルフラフィン塩酸塩)の医薬用途発明を保護するものであり、20年の特許期間は2017年11月21日に満了したが、2017年3月の「レミッチ®OD錠2.5µg」の承認取得に基づいて、5年間の特許権存続期間延長登録を求める出願(特願2017-700154号)がされている。この特許の有効性を巡り、...
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*Pharma/IP news

エビリファイ®用途特許を巡るジェネリックメーカーの動き

抗精神病薬エビリファイ®(アリピプラゾール)の特定の効能・効果(「双極性障害における躁症状の改善」、「うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められていない場合に限る)」)を保護している、大塚製薬が保有する用途特許(日本特許第4178032号、2022年1月29日満了(さらに存続期間延長登録あり))が、複数のジェネリックメーカーからそれぞれ特許無効審判を請求されている(無効2018-800113...
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*Case2018

2018.12.27 「サノフィ v. アムジェン」 知財高裁平成29年(行ケ)10225

リーチスルー抗体クレームについての進歩性・サポート要件・実施可能要件の判断: 知財高裁平成29年(行ケ)10225【背景】被告(アムジェン)が保有する「プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質」に関する特許(第5705288号)に対する無効審判請求不成立審決(無効2016-800004号)を不服として、原告(サノフィ)が審決取消訴訟を提起した事案...
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*Pharma/IP news

中外がハーセプチン®バイオシミラー承認取得した第一三共とファイザーに対し用途特許侵害で差止訴訟提起

2018年10月12日付の中外製薬プレスリリースによると、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「ハーセプチン®注射用60」および「ハーセプチン®注射用150」のバイオ後続品(バイオシミラー)の製造販売承認取得者である第一三共とファイザーに対し、ロシュ・グループのジェネンテック社が保有する用途特許の侵害を理由として、専用実施権者である中外製薬は、ジェネンテック社とともに、10月12日付で東京地裁にバイ...
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*Case2018

2018.04.13 「日本ケミファ v. 塩野義」 知財高裁平成28年(行ケ)10182; 10184

知財高裁大合議判決「膨大な数の選択肢を有する一般式形式記載の化合物が引用発明となる場合とは」: 知財高裁平成28年(行ケ)10182; 10184【背景】塩野義製薬が保有していた「ピリミジン誘導体」に関する特許(第2648897号; 2017.05.28満了)無効審判請求(請求人として参加: 日本ケミファ)を不成立とする審決(無効2015-800095号)の取消訴訟。争点は、訴えの利益の有無、進歩...
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*Pharma/IP news

ハーセプチン®用途特許侵害訴訟。日本化薬バイオシミラーの承認効能効果受け、中外が差止請求放棄

2018年4月11日付の中外製薬のプレスリリースによると、中外製薬は、日本化薬を被告として提起していた特許侵害訴訟について、4月10日に請求放棄の手続を執ったとのことです。中外製薬は、ジェネンテック社が保有する抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「ハーセプチン®注射用60、同150」の乳癌治療に関する用途特許(おそらく、乳癌を治療するための医薬組成物に関する特許第5818545号と推測されます)の侵...
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*Pharma/IP news

興和による東和リバロ後発品の製造販売差止請求で東京地裁が容認判決

2017年10月11日の興和のプレスリリースによると、興和は東和薬品に対し、興和が保有する高コレステロール血症治療剤「リバロ錠」(一般名:ピタバスタチンカルシウム)」の医薬特許(特許第5190159号)の侵害を理由として、同社が製造販売する「リバロ」の後発医薬品である『ピタバスタチンCa・OD 錠 4mg「トーワ」』の製造販売の差し止めを求める訴訟を東京地裁に提起していましたが、2017年9月29...
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*Case2017

2017.02.28 「ザ・ヘンリー・エム・ジャクソン・ファンデイション v. 特許庁長官」 知財高裁平成28年(行ケ)10107

臨床効果が証明されていなければ引用発明にならない?: 知財高裁平成28年(行ケ)10107【背景】「乳癌再発の予防用ワクチン」に関する特許出願(特願2011-540853; 特表2012-511578; WO2010/068647)の拒絶審決(不服2014-19365)取消訴訟。争点は、引用発明の認定の適否。請求項1:製薬上許容される担体,配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチドの有効量及び顆粒球...
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*Case2017

2017.01.20 「デビオファーム v. 東和薬品」 知財高裁平成28年(ネ)10046

延長された特許権の効力(知財高裁大合議判決): 知財高裁平成28年(ネ)10046(原審: 2016.03.30 「デビオファーム v. 東和薬品」 東京地裁平成27年(ワ)12414)【背景】「オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤」に関する特許第3547755号の特許権者であるデビオファーム(一審原告)が、東和薬品(一審被告)各製品は本件発明の技術的範囲に属し、かつ、存続期間の延長登録を受け...
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*Case2015

2015.11.17 「特許庁長官 v. ジェネンテック」 最高裁 平成26年(行ヒ)356

特許権の存続期間の延長登録出願の登録要件についての最高裁判決(アバスチン事件): 平成26年(行ヒ)356【背景】被上告人(ジェネンテック)は、アバスチン®(一般名: ベバシズマブ(遺伝子組換え))についての用法及び用量に関する事項を追加することを主な変更内容とする製造販売承認事項一部変更承認(本件処分)に基づき、本件医薬品を保護する「血管内皮細胞増殖因子アンタゴニスト」に関する特許権(第3398...
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