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2008/03/13

2006.09.28 「アボット・セントラル硝子 v. バクスター」 東京地裁平成17年(ワ)10524

セボフルラン(Sevoflurane)- 貯蔵方法の特許権が後発品排除に有効に働いた事例: 東京地裁平成17年(ワ)10524

【背景】
ルイス酸抑制剤で被覆する工程を含むセボフルランの貯蔵方法に関する特許(第3664648号)を有する原告(アボット、アエントラル硝子)が、被告(バクスター)に対し、被告が輸入および販売の準備をしている後発品で全身吸入麻酔剤「セボネス」(一般名:セボフルラン)の生産方法が本件特許の技術的範囲に属するとして、被告製品の輸入、販売および販売の申出の差止めを求めた。

請求項1:

「一定量のセボフルランの貯蔵方法であって,該方法は,
内部空間を規定する容器であって,かつ該容器により規定される該内部空間に隣接する内壁を有する容器を供する工程,
一定量のセボフルランを供する工程,
該容器の該内壁を空軌道を有するルイス酸の当該空軌道に電子を供与するルイス酸抑制剤で被覆する工程,及び
該一定量のセボフルランを該容器によって規定される該内部空間内に配置する工程
を含んでなることを特徴とする方法。」

【要旨】
本件特許のルイス酸抑制剤は、明細書に具体的に記載された化合物に限定されず、被告方法のエポキシフェノリックレジンのラッカーもこのルイス酸抑制剤に含まれるとして、被告方法は本件特許発明の構成要件を充足する。被告は、本件特許が36条及び補正要件違反に基づく無効理由を有すると主張したが、裁判所は採用できないと判断した。
請求認容。仮執行できると判決。

【コメント】
不安定な性質を有する有効成分の貯蔵に関する特許が、有効にジェネリックメーカーの実施を差し止めた事案。方法でなく、物を製造する方法の発明とされた(被告は争わなかった)点も、輸入・販売等を差止めできたポイントでは。
セボフルランは1968年に米国トラベノール社(Travenol Laboratories、現米国バクスター(Baxter)社)によって合成された。丸石製薬がトラベノール社より開発権を取得し、日本並びに海外における開発に着手、1990年に「セボフレン」の販売名で世界に先駆けて日本で製造承認申請を行い販売開始。1992年には米国アボットが日本など一部の国を除く全世界の開発権を取得、その開発過程で、本件特許発明を創作したのであろう。セボフルランの合成に成功したバクスターは開発権を手放したにもかかわらず、セボフルランが吸入麻酔剤として成功すると後発品を販売しようとした。しかし、開発権を取得し、本件特許も取得していたアボットにより特許権侵害を理由に差し止められてしまった。
それにしても、分割出願も多いが、無効審判の数も多い・・・(下記)。本判決後にバクスターが請求した無効審判の結果は・・・。

原告特許に関連した日本出願ファミリー:

  • 親出願
    特願平10-532168/特表2000-510159/特許3183520
    無効審判2005-080139(平17.5.6): 高裁出訴
    無効審判2006-080095(平18.5.22): 審判請求取下
    無効審判2007-800138(平19.7.20): 係属中
    (審判請求人はいずれもバクスター)


  • 分割(1世代)
    特願2000-349024/特開2001-187729/特許3664648
    無効審判2006-080264(平18.12.15): 結審通知(平20.2.13)
    無効審判2006-080265(平18.12.15): 結審通知(平20.2.13)
    無効審判2007-800195(平19.9.14): 結審通知(平20.2.13)
    (審判請求人はいずれもバクスター)


  • 分割(2世代)
    特願2005-109476/特開2005-279283: 出願却下処分


  • 分割(3世代)
    特願2005-374621/特開2006-143742: 出願却下処分

  • 分割(3世代)
    特願2005-374622/特開2006-137769: 出願却下処分



参考:

2008/03/08

2007.09.10 「大洋薬品 v. アステラス」 知財高裁平成19年(ネ)10034

セフジニルの結晶形特許の有効性は?: 知財高裁平成19年(ネ)10034

【背景】
2007.03.13 「アステラス v. 大洋薬品」 東京地裁平成17年(ワ)19162の控訴審。
抗生物質セフジニル(商品名:セフゾン®カプセル)のA型結晶に関する発明(特許第1943842)の特許権者であるアステラス製薬が、その後発医薬品としてセフジニルを有効成分とする大洋薬品製剤の製造販売の差止め及び同製剤の破棄を求め特許侵害訴訟を提起。主に、本件特許の出願日前に公開されたセフジニルの物質発明に係る引例に基づき、本件特許が新規性を欠く発明に対してなされたもので無効にされるべきか否か、が争われた。

地裁は、引例明細書中の実施例に開示されたセフジニルとA型結晶とのIRスペクトルが一致しないことから、両者は同一であるとはいえない、と判断した。また、同引例実施例に記載された方法によりセフジニルのA型結晶が得られるか否かについて、原告・被告両者からの鑑定合戦となったが、結局地裁は、被告(大洋薬品)の追試によっては実験工程を忠実に再現してもA型結晶を得ることはできず、原告(アステラス製薬)の追試によれば無晶形のみが得られると判断し、当時の技術常識に基づいて上記実施例においては当業者において容易に実施し得る程度にセフチジニルのA型結晶の製造方法が開示されているとはいえないから、新規性欠如を理由とする本件特許の無効主張は認められないとし、原告(アステラス製薬)の主張を認めた。大洋薬品はこれを不服として控訴した。

【要旨】
知財高裁も、原判決をほぼ引用し、
「①被告(大洋薬品)製剤は本件特許発明の技術的範囲に属するとの原告(アステラス製薬)の主張は理由があり,②本件特許は特許無効審判により無効にされるべきである等の被告(大洋薬品)の主張はいずれも失当である」
と判断した。
控訴棄却。

【コメント】
結晶特許が後発品排除に有効に働いた事例。
同剤の物質特許は2003年に特許期間満了したが、本件結晶特許は2008年8月まで存続するとのことである。
本件判決内容とは直接関係無いが、出願当時は別結晶(元結晶)として得られたものが、その後、結晶多形が明らかとなり安定晶が得られると、先の出願明細書に記載した方法ではもはや元結晶を再現して得られないという事態(安定晶が得られてしまう)が起こりうる。特許取得上に限らず、後の争いを想定して、既に開示された元結晶と、新結晶とが明確に区別できるような対策や証拠の準備をしておくことは非常に重要だろう。

なお、本件特許侵害訴訟は、最高裁が大洋薬品の上告を棄却したため、アステラスの勝訴が確定した(関連記事: 2007.12.27 「アステラスのセフゾン®カプセル特許侵害訴訟で最高裁が大洋薬品の上告を棄却」)。

参考:


2007/11/25

2004.04.28 「リヒターゲデオン v. 日本医薬品工業(ファモチジン事件)」 東京高裁平成15年(ネ)3034

結晶多形特許は有効か?(ファモチジン事件): 東京高裁平成15年(ネ)3034

【背景】

山之内製薬は、ファモチジンの物質特許を保有し、H2ブロッカー(商品名:ガスター)を販売していた。当時のガスターは、ファモチジンの結晶多形であるA型及びB型の混合物であった。その後、リヒターゲデオン社(ハンガリー国)はファモチジンの結晶多形であるB型の純粋結晶に関する特許(第2708715号)を成立させてしまった。山之内とリヒターゲデオン社との間で、リヒターゲデオン社が保有するファモチジン結晶多形特許に関する特許紛争が起きたが、山之内は日本におけるファモチジン結晶多形特許の独占的実施権を取得することで和解した。一方、ジェネリックメーカーは、山之内のファモチジン物質特許の存続期間が満了するのを見計らって、山之内が製造販売するガスターと同一のジェネリック医薬品の薬事承認を取得し、製造販売を開始した。リヒターゲデオン社は、ジェネリックメーカー16社に対して、ファモチジンのB型結晶形に関する特許を侵害しているとして、差止請求訴訟を提起した。東京及び大阪地裁で侵害は認められずリヒターゲデオン社は控訴した。本件はその一訴訟である。

【要旨】
出願経過等を参酌して解釈すれば、「『B』型のファモチジン」との記載は、ファモチジンには、A型、B型及び両者の混合物が存在することを前提とした上で、特定の「『B』型のファモチジン」に限定しているから、A型とB型の混合物を排除する意味を有すると判断した。B型とA型とを明確に区分していることに照らせば、A型の特性が検出される程度までA型を含むB型は、本件発明の技術的範囲に属しないと解するのが相当である、と判断した。従って、ジェネリック医薬品の原薬であるファモチジンは、A型の特性が検出される程度までA型を含むものと認められるから、ジェネリック医薬品は本件発明の技術的範囲には属さず、特許権を侵害するものということはできない、と判示した。また、出願経過に照らせば、「『B』型のファモチジン」に限定したというべきであり、均等成立のための要件を欠くため均等侵害の主張も採用することができない、と判断した。

【コメント】
いわゆる「ファモチジン事件」。結晶形(アモルファスも含む)の特許明細書作成時においては、その結晶形の好ましい含有量を記載したり、従来技術との境界線を明確にしたりしておくことで、訴訟時に少しでも有利な判断へと導くための準備をしておく必要がある。本事件においては、特に、混在していてもよいとするA型ファモチジンの含有量の範囲が広くなれば、拒絶・無効となる可能性が高まる点にも注意しつつ、B型結晶の純品に限定解釈されないような手当てをしておくべきであった。

また、山之内はリヒターゲデオン社に自社品の結晶多形特許を取得されてしまった。第三者に結晶多形を検討され、先に多形特許を奪われてしまわないよう、開発品の具体的活性成分が公に明らかになる前に、結晶多形検討はもちろんのこと、結晶多形に関する発明の出願をどのようなタイミングですべきか検討する必要がある。「2003.02.18 「大正 v. 山之内(ニカルジピン事件)」 大阪高裁平成14年(ネ)1567」や、米国の「ラニチジン事件」、「セフチン事件」等と対比して、結晶多形特許を製品のライフサイクルに有効に働かせるためにどのようにすべきか検討するにあたり価値ある事例である。

2007/11/17

2001.11.29 「ウェルカム/グラクソ v. 沢井製薬(アシクロビル事件)」 東京高裁平成13年(ネ)959

購入製剤から有効成分を抽出して製剤を製造販売する行為は再生産?それとも消尽?(アシクロビル事件): 東京高裁平成13年(ネ)959

【背景】

アシクロビルをカバーする化学物質発明の特許権(特公昭56-033396; 登録番号1090820)の存続期間が延長された。原告(グラクソ)は、本件特許権の独占的通常実施権者である。一方、被告(沢井製薬)は、特許権の延長期間中に、原告が製造販売する製剤を購入した上で、その製剤から有効成分であるアシクロビルを抽出・精製し、被告製剤を製造・販売した。原告は、被告が製造販売した製剤が特許権を侵害するとして損害賠償を請求した。

アシクロビルは、帯状疱疹等を効能効果とする抗ウイルス化学療法剤(販売名: ゾビラックス(Zovirax))の有効成分である。

【要旨】
裁判所は、
「被控訴人沢井製薬が,原告製剤からアシクロビルを取り出し,精製し,再結晶させた前記の行為が,控訴人グラクソが販売した原告製剤に含まれるアシクロビルをその同一性の範囲内で単に使用し,譲渡等する行為とみられる限り,本件特許権の効力は,前記のとおり,消尽により消滅しているため,これには及ばないものであり,本件特許権の効力が及ぶのは,被控訴人沢井製薬の上記行為が,本件特許発明の実施対象であるアシクロビルを生産したものと評価される場合のみであることは,前記のとおりである。
しかし,~被告製剤に含まれるアシクロビルは,原告製剤に含まれていたアシクロビルそのものであって,アシクロビルについて何らかの化学反応が生じたり,何らかの化学反応によりアシクロビルが新たに生成されたりしたわけではないのであるから,被控訴人沢井製薬の行為についてみると,本件特許発明の実施対象であるアシクロビルを新たに生産したものと評価することはできないのである。
以上によれば,被控訴人沢井製薬が,原告製剤からアシクロビルを取り出して,これを含有する被告製剤を製造した行為は,本件特許発明の実施対象となるアシクロビルを生産する行為ではなく,単にこれを使用する行為というべきであるから,本件特許発明の実施対象という側面からみる限り,これを新たな生産行為ということはできず,したがって,被控訴人沢井製薬による被告製剤の製造行為についても,被控訴人らがこれを譲渡した行為についても,本件特許権の効力は及ばないものという以外にない。」
と判断した。また、
「本件は,特許製品の部品を交換した事例ではないが,あえて部品交換の事例に例えていえば,特許発明の実施対象であるアシクロビルを部品として使用した製品(原告製剤)から,その部品そのものを取り出し,これを他の製品(被告製剤)の部品として使用しただけのことであり,実施対象であるアシクロビルは,その同一性を維持しつつ,その本来の目的に供されているだけのことである。」
「本件特許発明の対象となる部分は、アシクロビルであり、原告製剤全体でも、被告製剤全体でもないのであるから、~アシクロビルについてのみ、本件特許発明の実施品としての同一性を検討したのは正当であり、原告製剤と被告製剤との間でその同一性を判断する必要は無い。」
と言及した。

特許権の効力は消尽により消滅しているため及ばないし、また、被告の行為は、本件特許発明の実施対象であるアシクロビルを新たに生産したものと評価することはできないので、特許権の効力は及ばない。控訴棄却。

【コメント】
化学分野で、消尽と再生産が争点とされた数少ないケース。後発品メーカーが、特許侵害せずに販売義務を履行するためやむを得ず行った行為(薬価の高い先発品をわざわざ購入して、薬価の低い後発品を販売するという採算の合わない行為)であり、レアなケースではなかろうか。アシクロビルという物質(有効成分)にしか特許権が成立しておらず、製剤そのものについては特許権は成立していない。従って、発明の対象であるアシクロビルを再生産していない限り、消尽であるという裁判所の判断は妥当だろう。
原告は、「アシクロビルを含有する医薬組成物」のようなクレームもセットで特許を取得していたならば、被告行為が製剤の再生産に該当するから侵害であるという主張を発展できたかもしれない。

See also

2007/11/14

2003.02.18 「大正 v. 山之内(ニカルジピン事件)」 大阪高裁平成14年(ネ)1567

主成分でなくても含有されていれば発明の技術的範囲に属するか?(ニカルジピン事件): 大阪高裁平成14年(ネ)1567

【背景】

Ca拮抗薬である塩酸ニカルジピンは、山之内製薬が創製した化合物であり、これについての最初の特許の実施例に塩酸ニカルジピンの「結晶形」が記載されていた。山之内は、「結晶形」塩酸ニカルジピンの製剤(商品名「ペルジピン錠」)につき、製造承認を得て、販売を開始した。「無定形」塩酸ニカルジピンの持続性製剤に関する本件発明の特許出願日は、最初の「結晶形」塩酸ニカルジピン製剤が発売される前であった。大正製薬は、塩酸ニカルジピンを含有する徐放性製剤を製造又は販売していた。そこで、山之内は大正に対し、大正製剤には「無定形」塩酸ニカルジピンが全ニカルジピンの約40%、そうでなくても実質的な割合含まれており、本件発明の技術的範囲に属するから、その製造販売は本件特許権を侵害するとして、不法行為に基づく損害賠償及び不当利得の返還を請求した。

特許番号第1272484号
特許請求の範囲(1項):「無定形2,6‐ジメチル‐4‐(3'‐ニトロフエニル)‐1,4‐ジヒドロピリジン‐3,5‐ジカルボン酸‐3‐メチルエステル‐5‐β‐(N‐ベンジル‐N‐メチルアミノ)エチルエステル(ニカルジピン)またはその塩を含有することを特徴とするニカルジピン含有持続性製剤用組成物」

【要旨】
大正製剤中には、最低でも15.7%以上の「無定形」塩酸ニカルジピンが含有されているものと認められる。そして、その量が極微量で本件発明の作用効果を生じない程度のものであるとはいえない。製剤中の「無定形」塩酸ニカルジピンの含有量が極微量で本件発明の作用効果を生じないことが明らかであるような場合を除いて、大正製剤は本件発明の技術的範囲に含まれ、「無定形」塩酸ニカルジピンの含有量や生成方法の観点からの限定を受けることはないものと判断し、大正の製造販売行為は、特許権侵害であるとした。

【コメント】
いわゆる「ニカルジピン事件」。新規な結晶形(アモルファス含む)の特許を取得した場合、その含有量が極微量で発明の作用効果を生じないことが明らかでない限り、その結晶形を少しでも含めば、たとえ他の結晶形が主であったとしても、その混合物に対して特許権の効力が及ぶ。山之内は「結晶形」塩酸ニカルジピン(ペルジピン錠)の発売後、「無定形」塩酸ニカルジピンを含有する1日2回投与可能な持続性カプセル製剤(ベルジピルLA20mg, 40mg)を発売した。結晶多形特許が製品のライフサイクルに有効に働いた事例である。後の(2004.04.28 「リヒターゲテオン v. 日本医薬品工業(ファモチジン事件)」 東京高裁平成15年(ネ)3034)や、米国の「ラニチジン事件」、「セフチン事件」等と対比して、結晶多形特許を製品のライフサイクルに有効に働かせるためにどのようにすべきか検討するにあたり価値ある事例である。「含有量が極微量で発明の作用効果を生じないことが明らかでない限り」という裁判所が言及した点について、発明の技術的範囲がクレームに基いて定められる(特70条)という大原則に対する抗弁として、被疑侵害者にとって実際どの程度の「明らか」さが必要とされるのだろうか。

2007/11/07

1997.01.30 「ロキソプロフェンナトリウム二水和物事件」 東京高裁平成8年(ネ)2394

Na塩の水和物が"塩"の概念に包含されるか?: 東京高裁平成8年(ネ)2394

【背景】

「ロキソプロフェンナトリウム二水和物」の製造販売行為が、「ロキソプロフェンナトリウム塩」に関する特許権を侵害しているか否かが争われた。

【要旨】
「塩」という語は含水塩及び無水塩に分けることができ、当然に無水塩に限定されるものと解することはできない。また、本件明細書には含水塩を含まないと窺わせるような記載はないことから含水塩を排除しているとは認めがたい。従って、「ロキソプロフェンナトリウム二水和物」は本件特許発明の技術的範囲に属すると認められ、その製造販売行為は本件特許権の直接侵害であるとした。

【コメント】
本事件では、塩体にはその塩水和物及び塩無水物が含まれると判断されている。一方、塩の水和物ではなく、活性本体であるロキソプロフェン自体の水和物が、そのロキソプロフェン自体の特許発明の技術的範囲に属するか否かについては言及されていない。従って、塩の水和物のみでなく、ロキソプロフェン自体の水和物についても確実に権利取得するためには、クレームを「~化合物(すなわちロキソプロフェン自体)又はその塩、或いはその水和物(広い概念としては溶媒和物)」とするのが望ましくはないだろうか。第三者によって溶媒和物を実施されてしまうことを防止する対策として、明細書中において「本発明には溶媒和物を含む」と記載するという手段もあるが、万が一、発明の技術的範囲について明細書が参酌されないという場合も想定し(特許性の判断事例ではあるが、発明の範囲は原則クレームに基づくとの判断もある(
1991.03.08 「リパーゼ事件」最高裁昭和62年(行ツ)3)。)、あらかじめ「溶媒和物」をクレーム化しておくのが、最も安全ではなかろうか。